フリゲとsteam一言レビュー

レビューのないゲームより、一言でもレビューのあるゲームの方がとっかかりやすい。

【steam】返校 Detention

≪タイトル≫ 返校 Detention(へんこう でぃてんしょん) 

≪ジャンル≫ ホラー探索ADV

≪日本語化≫ 可

≪お値段≫  1180円

≪一言≫   深く悲しいストーリー 戦時下の台湾の雰囲気が独特で良い

«ストアページ» Detention on Steam

 

f:id:game_honey_game:20171112103247j:plain

放課後の学校を彷徨う探索ADV。怖かったです。

男子学生・ウェイは授業中に居眠りをしてしまう。目が覚めたら外は暗く、何やら台風警報のためみんな帰ったらしい。

確か眠る前、授業中のイン先生をバイ教官が連れて行って……バイ教官は元軍人の、恐ろしい教官だ……とりあえず僕も帰ろう。

近道である講堂を通った時、一人の女学生が舞台上の椅子に腰かけて眠っているのを見つける。

ウェイは女学生・レイを起こし共に学校を出ようとするのだが……

といった導入。

 

軍事下の台湾にある学校を舞台にしたゲームで、当時の弾圧的な窮屈で陰鬱な世界観を垣間見ることができます。

例えば反共産主義的読書は禁止、勉学に励め、違反行為は速やかに密告せよ……

そんな閉塞的な学校空間で起きた悲劇。

ストーリーが非常に素晴らしかったです。

エンディングは2種で、是非どちらも見てください。(BAD→TRUE推奨)

エンディングと実績コンプで4時間程度でしたが、プレイ後の心に残るこの重み。

プレイしてよかったなあと思える作品です。

翻訳は信頼と実績のPLAYISM。

ホラー探索ADVで、探索部分の謎解きは攻略無しでもなんとかなるくらい。

ホラー部分は、ホラー苦手の私は結構悲鳴をあげながらプレイをしていましたが、びっくり脅かし系やおいかけられ系は中盤まで。後半は精神的なホラーに移行していきます。

グロ表現もマイルドなので、気になってるけどホラー苦手……という方は前半を耐えられたら大丈夫。

最後までプレイしたら前半部のホラー表現もこのゲームには必要だったんだなと納得できると思います。

 

考察がはかどるゲームで、かなりしっかり示唆してくれるので終わり方にもやっとすることはありませんが「あれはどういう意味だったのかな?」「あれは暗示だったのかな?」など考察が止まりません。

記事後半に私なりの考察を載せておきます。

サントラは怖い音楽がたくさん、一部切ない音楽といった感じ。

しばらくホラー系動画のBGMには困らんね。ちなみにラジオの音楽は未収録です。

雰囲気・シナリオ・音楽がマッチして本当に怖い。

気になったらぜひ。

 

以下考察のため記事折り畳み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しいお話だった。

大まかな流れは

 

レイ、文武両道な活発少女な人気者

しかし家庭環境の悪化により好奇の目に晒され、その上両親をみて自分の将来にも絶望するようになる

そんな中カウンセラーのチャン先生に会う

レイ、チャン先生に恋をする チャン先生もレイに恋をする

レイはウェイとも仲が良く、ウェイはイン先生・チャン先生が関わる読書会のメンバーであり、信頼するレイにそのメンバーリストを渡す

読書会とは思想の自由を奪われたこの政治へと反抗する、先生たちが若い子供たちに世界を見せてやる違法書物の読書会だった

イン先生、レイをたぶらかすチャン先生を咎める(恐らくレイはそれを目撃している)

チャン先生、レイに別れを切り出す

全ては私の元から去っていく、とレイは絶望

どんどん悪化していたレイの家庭環境だが、母がついに父を収賄罪で密告する

母は「連れていかれるが、殺されはしない」とレイに言う

レイ、イン先生への逆恨み?で読書会のリストを密告しようと思う

(チャン先生をたしなめるイン先生の発言で、二人を恋仲だと誤認した。実際には同じ志を持つ同士という意味だった)

軽い気持ちだった こんなことになると思っていなかった

読書会に参加したメンバーは全員拘留され、イン先生は亡命し、チャン先生は死刑になった

レイは全員殺されたんだと思っている

レイ、違法行為を密告した勇気ある学生として称賛される

「チクリ魔」としていじめられる(チクリ魔は違うかも?母が父を密告したことを指しているのかもしれないし、なぜ男子トイレだったのか?)

レイ、自責の念から屋上より飛び降りる

以後学校に縛られ続け、悪夢を繰り返し見ている

刑期を終えたウェイが取り壊し予定の校舎に帰ってくる

レイ、ウェイが生きていることを知り、罪を思い出し、成仏する

 

以上のようでしょうか?

重苦しい政治が、思春期の淡い恋心が、ほんのちょっとの悪意が引き起こした最悪の結末。

私はチャン先生はレイを守るために別れを切り出したんだと思っています。

だというのに、結果的にレイの手でチャン先生は死んでしまった。

現実世界だったのは最後のウェイパートだけかなあと思っています。

最初の方でウェイが吊られているのも、自らの手でナイフを突き立てたのも、レイはウェイもあのなんのことない紙きれで殺してしまったと思っているんでしょう。

出てくる二種類の妖怪はバイ教官への恐怖が生み出した化け物だと思っています。

プレイしなおすとここも、ここも、ここも伏線だ~暗喩だ~と納得できるのですが、いくらかわからなかった点。

用務員の先生は何者なのか。なんかお札やら結界やら凄かったけど彼自身はでてこなかったんですよね。

あとすげー粉砕骨折したらしい生徒。いや何があったんだよ。この学校には地下独房があって、実はそこで凄惨な拷問が行われていて……?ということでしょうか。

あとレイの家の注射器って、父がヤク中ってことなんですかね?暴力・浮気・薬物……彼も政治の被害者だったんでしょうか。

とても切なくて苦しい話でした。

私も他の人の考察を漁ってこよう……